戦争や原爆を題材にした作品は、どこか重い印象があるので、なかなかとっつきにくかったり、平和学習としてお子さんに紹介したくでも、恐いのがトラウマになってしまうことがあるので、難しいと思います。
私自身もそうでしたが、この「世界の片隅に」というドラマは、優しい感じで戦争の恐さを伝えてくれる作品だと感じたので、お勧めです。
先だってアニメ映画が放映されていましたが、見ていなくてもついていける内容になっていたり、朝ドラに出ているなど見慣れたキャストであり、実写化しても違和感がなかったところも、視聴しやすい理由の一つです。
広島の呉に嫁にやってきたすずが、そこでのなれない生活に苦戦しながらも、やがて戦争という辛さに立ち向かっていく物語です。
結婚している人は勿論、そうでない人でも、新しい生活で悩んだことがある人なら、共感できるものがあると思います。
私は絵が好きで、マイペースなところがすずと重なったので共感しながら見ていましたが、色々な性格の人物が登場するので、自分はこの人タイプかなと共感できそうな役柄を探すのも楽しいと思います。
すずが嫁いでいった周作の家では、母親の足が悪いため、家事をすずが担うことになります。すずの家族は、とんでもないところに嫁いでいったなと心配しますが、マイペースなすずは気にしていないところが凄いです。
とはいえ、自我流にやっていいと言われつつも、やはり周作の家ではその家の味があるんだと気づき、すずは周作の母に教えを乞うことで、その家に慣れていこうとします。
そこへ旦那の家族と離縁してきた周作の姉がやってくるので、これまた厄介なことが怒りそうだなという場面もみどころです。
そんな中、すずの心のよりどころとなる、リンという女性と友達になる場面が個人的にいいなと思いました。近所さんとのたわいのないやり取りも、面白いです。
その女性は周作の元恋人で、どういう関係だったのか気になるすずは、ずっと周作に聞けずにいます。
こちらも知りたいなという気持ちになったので、結末的には味気ない気もしましたが、そうなってよかったんじゃないかなという内容にもとらえることができ、納得できました。
一方、周作の姉の意地悪に慣れてきたと思えば空襲が悪化し、すずの実家に原爆が落とされ、家族が行方不明になってしまうという悲劇が起きます。
物語としてはすずは原爆に遭遇してしまうのではないかと予想していましたが、遭遇しなかった側の苦労を描いている作品もありだなと思いました。